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無垢材を最低限描ける状態にする処理の方法

無垢の杉等の木材に絵を描く場合は、ヤニ対策と下地処理が必要。
ただし、市販のキャンバス用パネルとは構造的に別物。

なぜヤニ対策が必要か

杉などの木材は内部に樹脂(ヤニ)を含んでいる。
香りが強い木材ほど、この樹脂量が多い傾向。

このヤニは、温度変化・時間経過・塗料の影響で表面に滲み出る。

未処理で起きること

  • 黄色〜茶色のシミが出る
  • ベタつきが出る
  • 塗料がはじかれる
  • 後から部分的にツヤが変わる

※時間差で発生するのが特徴

無垢素材の処理の工程と目的

  1. やすりがけ
    目的:表面を整え密着を上げる
    方法:紙やすりやスポンジやすりで軽く
  2. アルコール拭き
    目的:表面のヤニ・油分除去のため
    方法:アルコールティッシュで軽く拭く。びしょ濡れにしない。
  3. ジェッソ1回目
    目的:吸い込みとヤニを封じる
    方法:反り軽減のため水は混ぜないで薄く塗る。
  4. ジェッソ2回目
    目的:バリア強化(完全に防ぐことはできないが、発生確率を下げる)
    方法:反り軽減のため水は混ぜないで薄く塗る。

市販のキャンバス用パネルとの違い

市販パネルの特徴

  • シーラー処理済み(ヤニ止め)
  • 合板や構造で反りにくい
  • 均一な下地
  • 長期保存前提

使用までの構造としては、主に木材 → シーラー → 下地→描画 という流れ

市販の無垢材の特徴

  • 無垢材そのまま
  • 表面処理のみ

今回の処理から使用までの構造としては、木材 → やすり→ジェッソ→描画という流れ

この処理の差の比較(結論)

  • 安定性:市販パネル > 杉
  • 再現性:市販パネル > 杉
  • 個体差:杉 > 市販パネル

無垢材を使うメリット

  • 木目がそのまま表現になる
  • 香りや素材感が作品に出る
  • 一点ごとの個性が強い
  • 均一じゃない面白さがある

無垢材を使うデメリット

  • ヤニが出る可能性
    数日〜数ヶ月後ににじむことがある。
    ただし多くは軽微なシミや色変化レベルで作品によっては味になる。
  • 反りや歪みが出やすい
    湿度や水分の影響でわずかに動くがそれは専用品も同じ。
    小作品では大きな影響になりにくい傾向。
  • 長期挙動の変化
    専用品より予測が難しい。
    通常環境では緩やかな変化に収まることが多く、作品によっては味になる。

※高湿度・直射日光・急激な温度変化では影響が専用品より強く出る可能性は高い。

無垢材を使う場合のメリットとデメリットの総評

  • 経年変化を含めて完成する素材という位置付けだと魅力的
  • 時間とともに表情が変わる一点物
  • 自然素材特有の揺らぎを持つ
  • 同じものが再現できない固有性がある
  • 環境や時間による変化も作品の一部として扱う設計が必要

まとめ

  • 市販パネルは「安定した作品用素材」
  • 無垢材は「個性の強い素材」

無垢材はどれだけ処理しても、長期安定性は市販パネルには及ばない。
ただし、それは絵画に向いてないという話ではなく、保存性を取るなら市販。素材の魅力を取るならという役割の違いで使い分けるもの。
予測設計をした上で適切な処理をし、なおかつ検証をすれば長期楽しむことが可能。

Kasumi Nakatake
著者
nakatake kasumi

記憶を留めるをテーマに、表現を横断した制作を行う個人作家。
表現領域:絵・クラフト・デザイン・音楽・リーディング