ZINE(ジン)の原型は1970年代に生まれ、1990年代に思想として定着し、2000年代以降にアート文脈で一般化しました。
最近のものに見えますが、実際には50年以上の歴史があります。
1970年代にZINEの原型が誕生
ZINEの原型は、英米のパンク・サブカルチャーの中で生まれました。
当時はコピー機が普及し始めた時代で、個人が自分の思想や音楽、政治的主張を紙にして配ることが現実的になりました。
この頃は「ZINE」という言葉よりも、ファンジン(fanzine)と呼ばれることが多く、音楽や思想色の強い内容が中心でした。
特徴としては下記のような姿勢が強く、今のZINEの精神的ルーツにあたります。
- 反商業主義
- 反体制
- とにかく自分たちの声を出す
1980年代に個人メディアとして定着
コピー機文化がさらに広がり、ZINEは音楽だけでなく、SF、映画、写真、詩などへ拡張します。
この時代に「ZINE=個人メディア」という位置づけがはっきりしてきました。
まだアートというよりは、カルチャー・思想寄りの存在です。
1990年代に思想・感情・弱さを含む表現として拡張
ZINEが思想として決定的に広まった時期です。
特にアメリカのフェミニズム運動やDIY文化と結びつき、声を持たない個人が自分の言葉で発信する媒体として認識されるようになります。
この頃から下記のような非常に私的な内容がZINEとして成立するようになりました。
- 日記
- 個人的な感情
- 未整理な思考
- 弱さや葛藤
今「ZINEは完成度よりも姿勢」と言われる理由は、ほぼこの時代に固まっています。
2000年代にアート・表現分野に流入
インターネットが普及し始める一方で、あえて紙で出すZINEが再評価されます。
同時に、アートスクールやイラストレーター、写真家の間で商業出版とは別のアウトプット手段として使われ始めました。
ここでZINEは思想の道具から表現の器へと役割が広がります。
2010年代以降に一般化・視覚表現化
アートブックフェアやZINEフェアが各地で開催され、ZINEはインディペンデントな表現媒体として完全に市民権を得ます。
この時代以降、下記が大量に出てきました。
- イラスト中心のZINE
- デザイン性の高いZINE
- ほぼ画集に近いZINE
そのため「ZINE=最近のオシャレな画集」という認識を持つ人が増えましたが、実はZINEは新しい形式ではなく、商業や評価の外側で、個人が記録し続けてきた文化が、今も残っているものという存在になります。