life/work

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作る意味・見せる意図・販売する理由。

この記事は、アートとデザインを主軸に様々な創作を行うクリエイターが、制作に対する無自覚な原動力と目的を改めて言語化し、頭の中を整理するために書き留めたメモです。

活動を続けていると、効率や外部の基準に思考が引っ張られ、気づかないうちに方向性がズレてしまうことがあります。
そうしたズレを感じたとき、自分の価値基準を明確にしておくと、どこがズレたのかを把握しやすくなります。

それをいつでも見返せる形で残しておくことで、必要なときにすぐに立ち返ることができる。
そのために、この文章をまとめています。

自分メモではありましたが、内容的に同じような活動をしている誰かの気づきになるかもしれないと思ったので公開することにしました。

何故、制作・公開・販売をするのか。

  • 制作せずにはいられない人間であること
  • 制作したものは点ではなく線で見たい
  • 実用的な意味がないと続けられない

制作せずにはいられない人間である

これは衝動や情熱があるというより、そういう性質の人間ということ。
私にとって制作は、気分転換・自己表現・成功のための手段ではない。
制作は選択肢ではなく前提条件。
制作は「やりたいこと」というよりも、自分を正常に保つための機能。
つまり、呼吸を「今日はする/しない」で考えないのと同じ位置にある。

「制作をやらない」という選択肢は自分が歪むため、制作をしない私は不自然。
やらない選択を取ると、以下のようなことが起きる。

  • 休んでいるのに「疲れる」「落ち着かない」というズレが起き、生きる意欲が下がる
  • 無関係なことに過剰反応し、感情が荒れる
  • 外部評価に意識が流れ、自己否定が増える

「制作する → 外に出す → 残る → 次に続く」という循環が回っている時が一番静かで安定しており、それと逆の動きをすると「制作を止める → 内側に溜める → 理由のない違和感が増える → 自分を疑い始める」という流れに入りやすい。

つまり、制作することは私の中で当たり前に組み込まれている、自己メンテナンスの役割がある。

制作したものは「点」ではなく「線」で見たい

私は1回きりの成功だけでは満足できない。

継続・変化・蓄積が見えないと、意味が作れない。
ここは私の中で最も重要な核の意識。

私にとっての意味とは、結果・評価・達成ではなく、時間軸そのもの。
単発の成功は点としては成立するが線にならない。
線にならないものは、私の中で意味として固定されない。

だから、一枚描いて終わり・一回売れて終わり・一回評価されて終わりでは、どこか空虚が残る。

私が好きなのは、シリーズ・アーカイブ・積み上がるもの・世界観としてのまとまりなど、後から振り返ることのできる構造。

「作る → 終わり」ではなく、
「作る → 残る → 関係が生まれる → 次に繋がる」という設計をすることを望んでいる。

作って終わりでは意味がなく、作った後に意味が生まれないと続けられない。
だから、私は「作る人」というよりも「作ったものが生き続ける構造を作る人」という方がしっくり来る。

販売や公開が必要だと感じるのは、承認のためではなく循環させるため

  • 他者の生活に触れる
  • 時間の中で選ばれる
  • 使われたり、見返されたりする

これが起きた時、制作が「点」ではなく「線」に変わると感じる。
だから社会という現実に置き場を作ることに意味を感じる。

自分の中で完結する自己満足・内省・鑑賞だけに閉じたプライベートな制作は、安全ではあるが、循環しない。
外に触れない制作は、エネルギーの出口がなく、時間とともに萎んでいく。
これは承認欲求の話ではなく、構造の話。

制作意欲の構造を理解する

私の制作エネルギーは「内側で完結 → 回収」ではなく「内側で生まれる → 外に触れる → 時間の中で返ってくる」という往復運動でしか持続しない。

作らずにはいられない体質だから、作ることはやめられない。
内側で完結すると意味が定着しないから、ただ作るだけでは足りない。

使われる、選ばれる、残る、振り返られる。
そんな構造を満たす最小単位が「制作 → 公開 → 販売」となる。

ここに野心はない。
売上を伸ばしたい・評価されたい・有名になりたいから売るのではない。

制作を続けるために、制作が線になるために、制作が社会と接続されるために売る必要がある。
売らないと制作が止まり心が枯れてしまうから。
だから私は「売りたい人」ではなく「制作を続けるために、売る必要がある人」になる。

基礎を示し、説明コストを下げたい

評価を自分の活動の主軸にはしたくないが、明示することは、説明コストを下げ実用的なものになる。

経歴・受賞歴など基礎を得たり、示すことの意味

  • 自分が自分を信用できる
  • 見る側が不安にならない

説明コストを下げるとは

  • 思想を売らない
  • 説得しない

評価を主軸にしないとは

他人の反応で軸を曲げない

実用的とは

  • 社会と接続し続ける
  • 制作を線にする

私が私でいられるバランスはこれ

  • 「評価されるために作る人」ではなく「意味が育つ環境を作る人」であること
  • 売るのは目的ではなく環境整備
  • 肩書きや基礎は誇示ではなく通行証
  • 説明しないのは傲慢ではなく設計

この前提を裏切らない選択を積み重ねていくことで、商業にも寄りすぎず、純粋表現にも閉じすぎない設計となり、私ならではのバランスが保たれる。

迷いが出た時の判断軸

私は瞬間の達成を積み重ねたい人ではなく、意味が育っていく過程を設計したい人。
だから何でも作ればいいわけでもない。

作ったあとに生きるか?線になる余地があるか?
ここを満たさない制作は、制作であっても逆に自分を消耗させる。

  • これは線になるか
  • これは現実と接続しているか
  • これは作らずにいられない衝動から出ているか

この3つにYESなら進めていい。
NOが多ければ、やらなくていい。

Kasumi Nakatake
著者
nakatake kasumi

アートとデザインを軸に創作活動中。
感覚と実用性の両立を重視し、制作と暮らしに関わる内容を記録しています。